久しぶりに骨のある作品を読みました。
純文学カテゴリーがふさわしい作品です。
約5時間で通読して
一日置いて所々を拾って熟読しています。
前回借りた「父娘の銀座」の随筆集で
初めて知った水村美苗さん。母と娘のやり取りは、化粧以外は全く良く似ていて
思わず嘆息したほど。
読書メーターなどをググって水村作品をピックアップし、市立図書館の閉架書庫にあったので
土曜日半どん後、直ぐに借りに行きました。
中を確かめるために開いた1ページ目から
ああ、これだこれだと、直ぐに引き込まれてしまいました。
身近な材料だけど料理法が格段に違う。
帰宅してすぐ読み出しましたが
その日は母と外食の約束をしていたので
その間中断。
うなぎのやまげんで、春御膳を頂きました。
生ビール+うなぎの骨の唐揚げ🍺🍺
おからサラダや季節の天ぷらなど
美味しく頂きながら
「考えても仕方ないことなんだけど」
母が17才の時、祖母が49才で亡くなるその間際の苦しみ方が今でも頭から離れられないと
問わず語りをし出しました。
しかし母は
祖父の葬儀からの帰途
死んだらどうなるの?と未だ幼かった私が尋ねると
死んだら土に還るだけだから何ともない
と答えたことを話しましたが
そんなこと言ったっけ?と全く憶えていないとのこと。
土に還るだけだと言った母は
誰にも看取られず布団の中で3日も4日も経ったらどうしようと、恐怖と不安で堪らなくなり一昨年私にSOSサインを送ったそうです。
今際の際の苦しみと死後のこと「孤独死」が
母にとって恐怖とは・・。
若き母が祖母の臨終に立ち会ってその体験が
トラウマになっているのだろうか。
それとも皆に枕頭で看取られて亡くなった祖母のように逝きたいと思ってのことなのか。
死ぬ時は誰しも瞬間苦しいだろうし
死んだ後のことは本人は全く関われないから
皆んな「孤独死」なのではないかなと
私自身は思っているけれど
母の話は話として
うんうんそうなんだねと傾聴しました。
そして帰宅後また本作に没入。
それにしても「土に還るだけだから」説で
以後半世紀以上死とはそうしたものと思わせていた母から、まさかこんな話を聞かされるとは思いませんでした。
人間の業とは様々で
「母の遺産 新聞小説」にも似たような場面が多々あり、何気ない母の一言が娘の
そのまた孫娘の中で大きく響いたりして
ほんとに色々。
自分の気持ちは自分にしか分からないこと
無常観は大人になったら必要なこと
など思い巡らしながら
休みの日に贅沢な読み返しをしています。
佳き週末
佳き日になりますように